少女革命ウテナ

ニコニコ動画の一挙放送を生放送で完走。終盤さんざん盛り上げたあと、穏やかな開放感で締める心地良い疲労感が好き。3/5~3/7の19:00~24:30に13話ずつ計39話。タイムシフトの期限は3/13~3/15だがさすがに短期間での再視聴はしんどい。
よく分からないと言われることも多い作品だが、ピングドラムで言うとおり「愛の話なんだよ、なんで分かんないかなあ」だし、幾原邦彦作品はいつだってこれ。あと付け加えておきたいのが、本当の正体とかそういうのは物語上定義された正解は存在しなくて、良心vs社会悪くらいのふわっとした心象で留めておくのが楽だと思ってる。輪る薔薇やハンドサインも「ここに注目」という以上の意味は無いような。だから謎解きはほどほどに、登場人物たちの心情に寄り添うように見るのが楽しい。
その上で、やはり語りたくなってしまうので語るけど、少女革命ウテナを分かりにくくしているのは創作された物語と一般的なメタファーが混在してるためだと思う。
創作された物語というのは「王子の妹が王子をかばって社会から隠した」という部分。これは何らかの社会現象のメタファーではなく、そういう個人がいてそういう物語が紡がれたというそのままに受け入れて、それ以上には解釈しなくていいと思う。
それ以外の、社会が王子に重荷を背負わせた・妹が社会から罪を着せられ魔女と呼ばれるようになった・王子は変質してシステムの一部になってしまったという部分は「あー社会ってそういう風に働くよね」「老いってそうやって無意識に進行するよね」という風に一般的メタファーとして整理できてしまう。
このあたりは視聴者によって変わってくるところだろうし、自分自身も10年後に観たらまた新たな別の印象を持つのかも知れない。
それにしても放映後20年を経てまだ色褪せないのは凄い。1クール目はまだ時代に流されてる感じの表現もあるが、2クール目・3クール目はスタッフがメッセージを伝えることに全力で捨てるところがない。語りつくせない物語を心に抱えてる者こそが創作者なのだと強く感じる。