ゾンビランドサガ #11

記憶を取り戻したさくらは、これまでの明るさとは真逆のネガティブ女だった。何をやっても運悪く失敗して後悔するからもう何もしないという学習性無力感が染み付いている。他のメンバーがあれこれ手を尽くして説得を試みるが皆あえなく玉砕。さくらに忘れられた山田たえが端っこで体育座りになって落ち込んでるように見える。噛み付くのは愛情表現だったのか。
さくらの記憶の中でアイアンフリル時代の水野愛が「失敗とか後悔とかを、全然ダメなことだと思ってない」と語る。失敗を自分の伸びしろだと捉えて新たな課題に据えられる人間は粘り強い。さくらもそれに感化され、アイアンフリルの新メンバーに応募しようとした矢先に1話のトラックだった。
自己憐憫に耽溺するさくらの前に巽が現れ、さくらが「持ってない」人間でも自分が「持ってる」から問題ない、さくらのことを諦めないと喝破する。よくよく聞くとさくらは運の良し悪しを語っているのに対し巽は夢の有り無しの話にすりかえているので厳密には噛み合ってないが、ともかく熱意で押し切る。
過去の失敗の記憶がなければさくらは本来前向きで頑張り屋の人間だということは10話かけて証明された。だから記憶を失うことは作品上の必然だったし、今こうして記憶を取り戻した状態で無力感を乗り越えなければ意味がない。