ゆるキャン△

今年1月に始まった本放送では、1話のかなり最初に4人がとくに理由もなく笑い合うカットを観て早々に切ってしまった。無意味な笑顔、無意味な可愛い仕草、そういう演出を年々受け付けなくなっている。
しかしその後、今期覇権の呼び声が聞こえるようになる。同じきらら枠で自分が楽しめたスロウスタートよりもこちらの方が勢いがあったので、いずれ一挙放送で観ようとは思っていた。けものフレンズと同じパターン。そして今日ようやくニコニコ動画の一挙放送を再生期限ぎりぎりで見終えた。
ゆるキャン△というタイトルは春や秋の過ごしやすい季節に集団で気軽に訪れるような和気藹々と過ごすキャンプを思わせたが実際には真逆の内容で、冬の閑散としたキャンプ場に万全の装備で訪れ、一人で準備をこなす手順を淡々と描写していくような作品だった。押し付けがましさのない、環境音だけの静謐な世界で緩やかな時間を感じ取っているような表現は、確かに他の作品にはない独特の空気だった。初監督でこの作品をものにした京極義昭は作品のクオリティを隅々まで見事にコントロールしてのけている。
キャンプの描写よりも移動時間や道具の準備にかける時間の方が長いところにもリアリティがある。原作者あfろのアウトドア経験が作品の血肉となっているのだろう。
あと細々とした感想として、リンの一人芝居は延々モノローグが続くので、一人称小説なみに内心が聞けて楽しい。SD絵が可愛い。季節が冬なので着込み重ね着ファッションが可愛い。リンが「うい」を「うえー」と発音しているのは「うい」という言い方を自然なものだと思えなかったのか。
それにしてもニコニコ動画のコメントで「尊い」を連呼されると気分が冷める。先月は芳文社が自社の出版物の広告で尊いと言い出してもう末期的だと思った。この用法さっさと陳腐化して廃れて欲しい。