なぎさは全力でプレイすることでついに綾乃からバドミントンの楽しさを引き出させる。どちらが勝ってもおかしくない白熱した勝負の末に勝利をもぎ取ったのはなぎさだが、同時になぎさは膝に故障を抱えることとなり代償は決して小さくなかった。しかしこの試合のあと綾乃は周囲の人間へ少し素直になることができ、母の有千夏へも自分の意思を伝えることができて物語は一段落する。このあたりの試合後の話運びはとても良かった。
有千夏の母親としての問題行動は解決したわけではなく、解決の道筋すら見えていない。そもそもこの作品は勧善懲悪や因果応報といった創作上の作法にあまり注意が払われてないように見える。それは視聴者にカタルシスを与える武器を一つ手放したことを意味するわけで大胆な話ではある。そうやって道徳的な決着を求めない方針であれば、綾乃と有千夏の問題は当事者間で落としどころを探るべき話であって周囲が善悪を語ったり批判する筋合いはないという一種突き放した価値観で今後も展開していくのかも知れない。
それにしてもこの作品は行儀の悪い原作ファンのコメントが目立った。行儀のいいファンはそもそも迷惑かけに出てこないから認識されないわけで、行儀の悪いファンはノイジーマイノリティだと思いたい。レストランで不味い不味いと言い続けながら閉店まで居座る客みたいなもので本当にうんざりした。内容は原作の肩を持つような発言でも、そういう行為は結局原作者を傷つけていただろうと思う。
ひっそりと何やかんや