労働争議に詳しいわけでもない素人の雑感と想像。
たつき監督が求めているのは「脚本費全話と脚本印税」。どこから支払われてないのかは明確にされてない。ヤオヨロズとKFPAのいずれかであることは間違いないだろうが、どちらも現時点では本件についてコメントしていない。
本作品では当初脚本家として田辺茂範氏がクレジットされていたが、実作業としてはたつき監督が物語の構成も担当していたため放送後の2017年5月にシリーズ構成・脚本がたつき氏に変更されたという経緯がある。この変更はKFPAからアナウンスされているのでプロジェクト全体としての確定事項となる。
金の流れがKFPA→(制作費)→ヤオヨロズ→(報酬)→制作スタッフであることはまず間違いないだろうから、「脚本費」はおそらく一旦ヤオヨロズから田辺氏に支払われている。監督が脚本に手を加え修正するくらいなら珍しくないことで費用の請求もないだろうが、けものフレンズの物語に関してはたつき氏が中心となって考えたと思われるため事情が異なり、たつき氏の主張には一定の理がある。しかし当初脚本家として契約してなかったたつき氏から後になって脚本費を請求され、ヤオヨロズが方針を決めかねて今日まで放置されてきたのではないだろうか。田辺氏も「アニメ最終話まで打ち合わせにも参加していた」(KFPAのアナウンスより)ので支払われるべき賃金は存在する。考えられる解決法としてはヤオヨロズが田辺氏・たつき氏両名と合意した上で、田辺氏から脚本費の何割かの返還を受け、それをたつき氏に支払うという手順がありうる。合意に至らなかったときはヤオヨロズが二重払いを飲むか、それを拒否するかということになるだろうし、後者の場合はたつき氏が訴訟を起こすしかないだろう。
もう一つの「脚本印税」に関しては売り上げの一部を脚本家に支払うものだからヤオヨロズは間に入らず、KFPAとたつき氏の直接的な契約となるはず。契約が存在するなら機械的に支払われるだろうし、支払われてないなら契約が結ばれていないと考えるのが妥当。脚本に関しては買取のパターンもあるので印税が支払われるかは契約次第だが、アニメ製作大手のKADOKAWAが関わっているプロジェクトが業界の標準から逸脱した契約をする合理的理由はないので田辺氏とは印税契約を結んでいたのではないか。もしそうだとしてクレジット変更に伴い田辺氏との印税契約を破棄したならKFPAはたつき氏と契約を結びなおす必要があった。田辺氏なら契約するがたつき氏とは契約しないという合理的理由が存在しないので、もしそこが係争の焦点となるならKFPA側は不利だろう。
請求される側から見れば契約外の自主的な作業について後出しで費用請求されることへの違和感は当然あるだろう。しかしたつき氏が脚本相当の作業を行なったという単純な事実が存在しプロジェクトもそれを追認しているので、支払うべきものは支払うという原則は守られなければならないと考える。
ひっそりと何やかんや